自動車メーカーのAIエンジニアの1日|会議が8割、北米とのやり取り、21時までの残業のリアル

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自動車メーカーのエンジニアと聞くと、一日中パソコンに向かって設計しているか、実験車両に乗っている姿を思い浮かべるかもしれません。

でも、私の一日の大半は、会議の中にあります。

私は自動車メーカーで、AIを使った自動運転の先行開発をしています。役割は、AI自動運転を実際の車両へ適用することです。

この記事では、自動車メーカーのAIエンジニアの一日を、現役AI実装エンジニアの視点で時間の流れに沿って紹介し、最終的にあなたがこの仕事に向いているかを判断するための材料を提示します。

先に結論
  • 朝:9時半ごろに出社。北米から届いた大量のメールを読むところから一日が始まる
  • 日中:定時内の8割は会議。残りの2割も、ほとんどが会議の準備
  • 夜:ADASの業界は忙しく、時期によって19時台〜22時。真ん中をとると21時ごろ。定時後は資料づくりと、北米へのメールの返信
  • 英語:あったほうがいいが、なくても致命的ではない
  • 休み:有給はほぼ使い切れて、休日出勤はほとんどない
  • 若手:ADASの業界は若く、5年目でもチームを引っ張れる
  • 向き不向き:派手さより、黙々と取り組む人が多い職場。明るくキラキラした職場を求める人には、正直あまりおすすめしない

この記事で書いていること
  • 自動車メーカーのAIエンジニアの、ある一日のスケジュール
  • 朝のメールと、北米とのやり取り(英語はどれくらい必要か)
  • 定時の8割が会議になる理由
  • 昼休みの過ごし方
  • 残業の時間と、その中身
  • リモートワーク・有給・休日出勤の実際
  • やりがいと、若手がどこまで任されるか
  • 働く人の雰囲気と、向き不向き

なお、ここに書くのは私の働き方の一例です。部署や時期によって、働き方は大きく変わります。また、会社の見解ではなく、一人のエンジニアとしての私の実感です。

ある一日のスケジュール

時間やること
9:30出社。まずはメールチェック。北米から届いた問い合わせを、斜め読みしながら仕分ける
午前会議と、会議の準備
12:00〜13:00昼休み
午後〜18:00(定時)会議と、会議の準備(定時内の8割が会議)
18:00〜21:00ごろ資料づくり、会議で出た宿題、北米へのメールの返信
私のある一日(部署や時期によって変わる)
定時内の時間の使い方は会議が8割、会議の準備などが2割。ある一日の流れは、9時半から昼までメール・会議・準備、12時から13時が昼休み、午後は18時の定時まで会議・準備、18時から21時ごろまで資料づくりと北米へのメールの残業
定時内の時間の使い方と、ある一日の流れ(私の場合)

朝:北米からのメールを読むところから

会社の定時は、9時から18時です。あいだに1時間の休憩をはさんで、8時間の勤務です。ただ、フレックス勤務なので、みんながこの時間に縛られているわけではありません。

メーカーの朝は始まりが遅めの人が多く、私も出社する日は9時半ごろから始めることが多いです。このあたりは、部署によっても違います。

席に着いて最初にやるのは、メールのチェックです。私は北米とのやり取りが多いです。時差の関係で、日本の朝に出社すると、北米から届いた問い合わせのメールが受信箱に大量にたまっています。

これを一通ずつ丁寧に読んでいては、午前中が終わってしまいます。斜め読みしながら、次のように仕分けていきます。

メールの種類対応
その場で答えられるものすぐに返信する
調べないと答えられないもの一日のどこかで調べながら、返信する

英語は必要? あったほうがいいが、なくても致命的ではない

北米とのやり取りが多いと書くと、「英語がかなりできないと務まらないのでは」と思われるかもしれません。私の答えは、「英語はあったほうがいい。けれど、ないからといって致命的にはならない」です。

私自身、TOEICは800点ほどですが、実際の仕事で使う生きた英語は、まだ苦手です。今も悪戦苦闘しています。それでも、なんとか熱意でやっていけています。仕事で英語が必要になる場面の本音は、英語の記事に詳しく書いています。

場面英語の使い方
メール英語を使う量はこちらの方が多い。ただ、翻訳ツールが使えるので、負担はそれほど大きくない
会議英語で行うものもある

日中:定時内の8割は会議

朝のメールが片づくと、あとは会議の時間です。定時内の時間の使い方は、だいたい会議が8割、自由に使える時間が2割です。その2割も、多くは会議の準備に充てています。

なぜ、こんなに会議が多いのか

クルマは、一人では作れません。自動車メーカーは、社内のさまざまな部署や、部品をつくるサプライヤーなど、たくさんの関係者と一緒にクルマを作っていきます。関係者が多いぶん、すり合わせの場である会議も、自然と多くなります。

だからこそ、その会議をいかに有意義に使えるかが、その人のアウトプットに直結します。ただ出席するだけの会議を重ねても、仕事は前に進みません。会議で何を決め、誰が何をするのかまで持ち帰れるかどうかで、成果は大きく変わります。

会議で物事を決めきる力が、自動車メーカーでどれだけ重宝されるかは、自動車メーカーが求める人材の記事にも書いています。

どんな会議があるのか

会議の中身はさまざまです。

  • 仕様のすり合わせ
  • 進み具合の確認
  • 不具合の検討
  • 中長期的に会社を良くしていくための取り組み

私は、いらない会議には出ない

会議が多いからこそ、不要な会議を減らすことにも積極的に取り組んでいます。

会議との付き合い方
  • 自分には関係の薄い会議に呼ばれることも多い。そんなときは、無理に全部に出ようとはしない
  • アジェンダ(議題)の決まっていない定例会は、ほとんどいらないと思っている。そうした会議は、積極的に廃止を提案している

本当に必要な仕事だけを選ぶ考え方は、ビジネス書の記事で紹介した『エッセンシャル思考』から学んだところが大きいです。

昼休み:ひとりで食べる人が半分、誰かと食べる人が半分

昼休みは、12時から13時までの1時間です。ひとりでご飯を食べる人が半分、誰かと一緒に食べる人が半分といったところです。会議続きの一日の中で、ひと息つける貴重な時間でもあります。

夜:21時ごろまで続く、もう一つの仕事

ADAS(運転支援)の業界は忙しいです。私の周りでは、だいたいみんな21時ごろまで仕事をしています(時期による波は、後で書きます)。

これはうちの会社だけでなく、業界としてそういう傾向があると聞いたことがあります。気になる人は、社員の口コミが読めるOpenWorkなどで、各社の働き方を調べてみるとよいと思います。

▶ OpenWork公式サイト

定時後の時間は、ほとんどが次の2つに使われます。

北米へのメールは、その日のうちに返す

北米へのメールは、その日のうちに返すのが暗黙のルールになっています。だから、日中に後回しにしていた北米とのメールに、定時後にまとめて返信していきます。

会議で出た「宿題」に追われる

これだけ会議に出ていると、「次回までに、こういう情報を持ってきて」と宿題を出されることが多いです。

日中は会議で埋まっているので、その宿題の資料づくりは、どうしても定時後になります。次の会議に急かされながら資料を作ります。それが、夜のよくある光景です。

AIの開発をしていても、仕事の道具は意外とアナログ

AIを使った自動運転を開発しているのだから、日々の仕事もAIだらけ……と思われるかもしれません。実際は逆で、仕事で使えるAIはCopilotくらいです。社内の業務へのAIの導入は、まだ乏しいのが現状です。

会議の資料も、すべて手作りしています。夜の資料づくりに時間がかかるのは、そのためでもあります。

毎日が同じ一日ではない

ここまで書いたのは、あくまで典型的な一日です。実車で確かめる日や、テストコースに出る日もあるにはありますが、数は少ないです。このあたりは会社によって違う、とよく聞きます。

残業の時間も、時期によって波があります。繁忙期には22時まで働く日が毎日続くこともあれば、19時台に帰れる時期もあります。真ん中をとると21時くらい、というのが私の感覚です。

働き方の制度:休みは、しっかり取れる

項目実際のところ
勤務時間定時は9時〜18時(休憩1時間・8時間勤務)。フレックスなので、時間の使い方は人それぞれ
リモートワークかなりしやすい。ただ、出社が多い人のほうが、仕事のできる人が多いという印象がある
有給休暇会社が「取得推奨日」を設けていて、自動的に消化されていく。そのぶん、しっかり休める。ほぼすべての有給を使い切ることになる
休日出勤よほどの緊急事態でない限りない。私は、出張を除いて一度もない
私の会社・部署の場合

給料や長期休暇については、ほかの記事にも書いています。新卒で入った自動車メーカーの良いところ(福利厚生や長い休み)は新卒向けの記事に、現職の年収の目安(残業代込みで750万円ほど)は転職活動記②にまとめました。

やりがいと、若手の活躍

担当したクルマが、試作車として形になったとき

いちばんやりがいを感じるのは、自分が担当しているクルマが実際にものになり、試作車として形になったときです。会議とメールと資料づくりの積み重ねが、目の前で一台のクルマになります。

ADAS業界は若い。若手でも戦力になれる

ADASの業界は、平均年齢がかなり若いです。私の感覚では、35歳くらいだと思います。そのぶん、若手でも重宝されるし、戦力になりえます。

私は今、入社5年目で、チームを引っ張る役割を任されています。3年目までは、見習いという感覚でした。

働く人の雰囲気:向き不向きは、意外と大事

最後に、職場の雰囲気についても書いておきます。メーカーで働く人は、派手さよりも、黙々と仕事に取り組むタイプが多いです。

明るい人ばかりの職場ではないので、明るくキラキラした場所で働きたいと考えている人には、正直あまりおすすめしません。

これは、意外と大事なことだと思っています。実は私自身も、一緒に働く人のパーソナリティが、少し合わないと感じることがあります。できることなら、自分とテンポの合う、テキパキと仕事を進めていく人たちと一緒に働きたいと思っています。

そうした背景もあって、最近は総合商社も視野に入れています。その話は、また別の記事で書きたいと思います。

就活生・転職を考えている人へ
仕事の中身や給料と同じくらい、どんな人たちと働くかは、毎日の満足度を左右します。インターンや座談会、OB・OG訪問では、仕事の話だけでなく、職場の人の雰囲気も見ておくと、入ってからのギャップを小さくできます。

職場の雰囲気は、実際にそこで働く先輩に聞くのがいちばんです。同じ大学の先輩なら、説明会では聞けない本音も聞きやすいものです。

▶ 同じ大学出身の先輩に話を聞けるOB/OG訪問ネットワーク「ビズリーチ・キャンパス」

まとめ

この記事のポイント
  • 朝:9時半ごろ出社。北米からの大量のメールを斜め読みし、すぐ返せるものだけ返す
  • 日中:定時内の8割が会議。関係者が多いぶん、会議をどう使うかがアウトプットを決める。いらない会議は減らす
  • 昼:12時から1時間。ひとりで食べる人と、誰かと食べる人が半々
  • 夜:真ん中をとると21時ごろまで、資料づくりと北米へのメールの返信。会議で出た宿題に追われることも多い
  • 英語:TOEIC800点でも生きた英語は苦戦中。それでも熱意でやっていける
  • 制度:リモートワークはしやすく、有給はほぼ使い切れる。休日出勤はほとんどない
  • AI:AIを開発していても、仕事で使えるのはCopilotくらい。資料は手作り
  • やりがい:担当したクルマが試作車として形になったとき。若手でも戦力になれる
  • 雰囲気:黙々と取り組む人が多い。一緒に働く人との相性は、思っている以上に大事

クルマは、たくさんの人の手で、少しずつ形になっていきます。その「少しずつ」の正体は、会議と、メールと、夜の資料づくりの積み重ねです。

華やかさはないかもしれません。それでも、この積み重ねの先に、まだ世の中にない自動運転のクルマがあります。

若いうちから大きな仕事を任せてもらえて、自分が関わったクルマが形になる。合う人にとっては、やりがいの大きい仕事だと思います。向き不向きを見極めたうえで、この世界を選ぶ人が増えたらうれしいです。

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