自動運転エンジニアが転職を考えた理由|宇宙ではなく自動運転に絞った話【転職活動記①】

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理想の設計図は、いつも頭の中にあります。それなのに、現実のクルマはその通りには組み上がりません。

以前の記事では、AIを実車に載せる現場の「5つの壁」と、その根っこにある「組織」の問題について書きました。

その壁を見上げているうちに、ある思いが形になっていきました。SDV(Software Defined Vehicle)時代の開発を、もっと全体を見渡せる場所から考えてみたいと思ったのです。

そうして私は、コンサルティングファームやITベンダーへの転職を考え始めました。

ただ、最初に正直に書いておきます。転職活動はまだうまくいっていませんし、転職先も決まっていません。これは成功談ではなく、迷いながら進んでいる一人のエンジニアの途中経過です。

追記(2026年10月)
その後、日立コンサルティングから内定をいただきましたが、自動運転・SDVの案件が今はないとわかり、今回は見送りました。現在は、総合商社も視野に入れて転職活動を続けています。経緯は日立コンサルティングの面接の記事に書いています。

この記事では、自動車メーカーのAIエンジニアが転職を考えた理由を、現役AI実装エンジニアの実体験として書き、最終的にあなたが転職を考えたときに最初にやるべきことを提示します。

この記事でわかること
  • 自動運転エンジニアの私が、転職を考え始めた理由
  • 宇宙業界ではなく、自動運転に絞った理由
  • コンサルの選考で感じた、事業会社との違い
  • 転職するか迷っている段階で、まずやっておきたいこと

転職を考えた理由:SDV化の「しがらみ」を、外から解きほぐしたい

いちばんの理由は、SDV化を進めるうえで、社内のしがらみがあまりにも多いと感じたことです。

SDV(Software Defined Vehicle)とは
ソフトウェアでクルマの機能や価値を決め、スマホのように、販売したあともアップデートで機能を追加・改善していくクルマのことです。ハードウェアごとに作り込んできた従来の開発から、ソフトウェア中心の開発へと、組織や仕事の進め方ごと変える必要があります。

「部分ごとの正解」が、全体の正解にならない

会社としては、SDV化へ進むという旗をはっきり掲げています。でも現場では、それぞれの担当が自分の持ち場の事情を優先し、足並みがそろわない場面に何度も出くわしました。

誰か一人が悪いわけではありません。担当ごとに守るべき品質や納期、積み重ねてきたやり方があります。一人ひとりは、正しい判断をしているのです。

ただ、その「部分ごとの正解」をいくら足し合わせても、会社全体の正解にはなりません。正しさ同士が、静かにすれ違っていきます。ここに、SDV化のいちばんの難しさがあると感じています。

担当ごとに品質・納期・やり方を守る正しい判断をしても、足し合わせると足並みがそろわない。外から同じ地図を示すことで、同じ方向へ歩き出せるようにする
「部分ごとの正解」と「会社全体の正解」

だから、コンサルとして外から関わりたい

社内の一つの担当としてではなく、外から関わる。SDV化に向けて「最適な解はこういう形だ」という道筋をパッケージとして差し出し、ばらばらだった担当が、同じ地図を見て歩き出せるようにする。

そんな役割を担える人間になりたいと思いました。それが、転職を考えたいちばんの理由です。

宇宙ではなく、自動運転に絞った理由

実は、転職先として宇宙事業も考えていました。大学院では航空宇宙工学を専攻していましたし、宇宙という言葉には今でも胸の奥が少し熱くなります。それでも最後は、自動運転・モビリティに絞りました。理由は二つあります。

  1. 給与面:私が見た範囲では、宇宙関連の求人は、自動車業界と比べて給与が低めのものが多かった。
  2. 自動運転のキャリアを手放したくなかった:AIを実車に載せる仕事で積み上げてきた経験を、もう少しこの領域で活かしたかった。

好きな分野と、自分の経験が活きる分野は、必ずしも重なりません。私は今回、後者を選びました。思えば新卒の就活でも、宇宙と自動車のあいだで揺れていました。その話は新卒向けの記事に書いています。

コンサルの選考を受けてみて感じたこと

選考の場に座ってみて、事業会社のエンジニア採用とは、物差しがまるで違うと感じました。あくまで私の印象ですが、整理するとこうなります。

事業会社のエンジニア採用コンサルの採用
主に見られること何を作ってきたか、どんな技術を使えるか技術を、相手の会社の利益にどう変えられるか
面接での問い過去の実績や技術の深さ今後のキャリアプラン、未知の課題への向き合い方
独特な選考コーディングテストなどケース面接、フェルミ推定
私が選考を受けてみて感じた違い(個人の印象です)

事業会社では過去を問われ、コンサルでは未来を問われます。同じ経歴書を差し出しても、光の当たる場所がまったく違うのです。

自動車会社の経験は、武器になる。でも、それだけでは足りない
  • 武器になること:E/Eアーキテクチャ、開発プロセス、サプライヤーとの分業、量産での品質や安全の考え方。現場の手触りは、クライアントと同じ目線で話すうえで役に立つ。
  • 足りないこと:その知識で課題を解きほぐし、相手にとって価値のある提案に編み上げる「コンサルとしての力」。ここは私自身も、まだ修業の途中だ。

その「コンサルとしての力」の土台になる考え方を、私はビジネス書から学んできました。読んできた中から選んだ11冊は、こちらにまとめています。
👉 自動運転エンジニアが100冊以上読んで選んだビジネス書11冊

ケース面接のような「その場で考える」選考に備えるなら、東大ケーススタディ研究会の『伝説の「論理思考」講座』をすすめたいと思います。

私は学生時代にこの本に取り組んで、ケース問題が得意になりました。課題を分解して筋道を立てる型が身につき、それは今の仕事でも生きています。

まずは、自分の市場価値を知るところから

最初にやってよかったと思うのは、転職するかを決める前に、自分の経験が社外からどう見えるのかを知ることでした。同じ会社の中にいると、自分の経験の重さは、なかなか量れません。鏡がなければ、自分の顔が見えないのと同じです。

私がその鏡として使ったのが、スカウト型の転職サービスです。

  • 職務経歴を登録しておくと、企業やヘッドハンターからスカウトが届く。
  • どんな会社から、どんなポジションで声がかかるかを見るだけで、市場価値の輪郭が見えてくる。
  • 多くは無料で登録できるので、迷っている段階でも、登録だけはしておく価値があると思う。

スカウト型のサービスと転職エージェントの使い分けは、③の記事で詳しく書いています。

実際に使った職務経歴書を公開しています
スカウト型の転職サービスに登録して、大手コンサルからスカウトが届いた職務経歴書は、会社や個人が特定できる部分を置き換えて、noteで全文公開しています。項目ごとの「なぜこう書いたか」の解説や、エージェントから受けた添削の指摘もまとめた(一部有料)。
👉 【実物公開】大手コンサルからスカウトが届き、年収850万円の内定につながった職務経歴書(note)

コンサルへの転職を考えているなら
私がこの選考を受けられたのは、まず転職サービスに登録して、自分の市場価値を知ったところからでした。自動車メーカーの経験が、社外でどう評価されるのか。年収のリアルと、使い分けた転職サービスはこちらにまとめています。
👉 自動車メーカーのAIエンジニアが年収を上げるキャリア戦略
👉 転職エージェントとスカウトサービスの使い分け
👉 年収850万円の内定につながった職務経歴書(note)

まとめ

この記事のポイント
  • 転職を考えた理由:SDV化の「部分ごとの正解」のすれ違いを、コンサルとして外から解きほぐしたい
  • 自動運転に絞った理由:給与面と、積み上げてきたキャリアを活かしたかったから
  • コンサルの選考:事業会社は過去を、コンサルは未来を問う
  • 最初の一歩:スカウト型の転職サービスで、自分の市場価値を知る

理想の設計図と、組み上がらない現実。そのあいだの距離を、今度は外側から縮めにいきたいと思っています。道はまだ半ばですが、一歩ずつ進めています。

次の記事では、実際に受けた3社の選考で感じたことを書いています。
👉 野村総合研究所・日立コンサルティング・ベイカレントを受けて感じたこと

自動車メーカーへの転職を考えている人は、入ってから「思っていたのと違う」とならないよう、自動車メーカーに転職して後悔する人の3つの特徴も読んでみてください。

今の環境を変えたいと思ったら
現状の泥臭い環境を変えたいなら、まずは転職エージェントやスカウトサービスで、自分の市場価値を測ってみるのがおすすめです。自動車メーカーのAIエンジニアである私が、転職活動で見た年収のリアルと、取るべきキャリアの選択肢をまとめました。
👉 自動車メーカーのAIエンジニアが年収を上げるキャリア戦略

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